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校長ブログ

~校長室の窓から~ 「放送朝礼のお話 社会科 野澤先生」

2023.12.04

 今日は、私がときどき思い出す2つの言葉を紹介したいと思います。まずは一つ目。「人はパンのみにて生くるものにあらず」。もとは聖書に由来することわざですが、人間が物質だけではなく、精神的に満たされることを求めて生きる存在である、という意味で使われます。何が私たちを精神的に満たしてくれるのでしょうか。もちろん愛や友情も心を満たしてくれますが、それだけでしょうか。

 二つ目を紹介します。「真理が我らを自由にする」。こちらも聖書の言葉です。この言葉は、日本で唯一の国立図書館、国立国会図書館のカウンターの上部にも刻まれています。私たちは「知る」や「学ぶ」という行為を通じて、初めて様々な偏見や迷信を払いのけ、自由に生きることができるのです。

 ここから私が強く思うことは、私たちは知識を求め続け、学び続ければならない存在であるということです。

 このごろ、タイムパフォーマンス。時間帯効果のことですが。略してタイパを意識して、人々が行動を選んでいるように思います。あまり時間をかけずに、成果や満足感を得たい。裏を返せば、時間をかけても成果が出ないことを悪とみる風潮があるように見えます。たとえば、皆さんの中にも、せっかく時間をとって勉強をしても成績がとれないし、テストで失敗すればかっこ悪いし、人から笑われてしまう、そう思っている人もいることでしょう。その気持ちもわかります。

 ただ、思い返してください。果たして、時間をかけて学んだことが、どうして無駄と言えるのでしょうか。知識は誰にも奪われません。あなたの貴重な財産です。あなたが人生の限りある時間の一部分をかけて、学ぶことを選択したことは、決して間違いではありません。胸をはってください。

 最後に、清泉から巣立とうとする74期の皆さんに、日本近代史の研究者 加藤陽子さんの言葉をかりて、エールを送りたいと思います。加藤さんは、孤独や孤立を極度に恐れる若者に贈る言葉として、次のように表しました。

 「一人でも大丈夫、でも一人じゃない」。清泉はこれからも、みなさんがつながりあえる場所です。心のよりどころです。安心して、前へ進んでください。

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