しなやかに強く自分を持ち続け、凛として輝ける女性になること——ライフオリエンテーションプログラムは、キリスト教精神に基づいてこころを育てる、本校の教育の根幹をなすプログラムです。一人ひとりは神に愛されたかけがえのない存在であるということを他者との出会いによって体験的に知ること、自分のことだけでなく、他者のために生きるという大きな望みをもって自らの使命に気づくこと――自分の未来を思い描いていくための大切な基盤はそのような心を育てることから始まります。さまざまな刺激を受けて自分自身をインスパイアし、変化し多様化する社会の中で生きていく力を身につけていきましょう。
グローバル社会の中では、異なる文化への開かれた心、宗教に対する理解を養うことが必要です。また変化の激しい時代の中では、変わらない大切なものは何かを見極めるため、自己の内省によって自分の軸を作っていくことも重要です。学年行事として全員参加で行われるライフオリエンテーションプログラムでは、生徒の成長と発達段階に応じて学年ごとにテーマを設定し、「清泉が大切にする10の価値」を身につけていきます。福祉プログラムでは、当事者の方との交流の中で、社会を見る視点と奉仕の精神を育みます。宗教研究では、キリスト教への理解を深める中、クラスやクラブなどとは異なる人間関係を育みます。ボストンカレッジでは、アメリカの大学生と共に精神性を高め、リーダーシップを身につけるプログラムを経験できます。
ライフオリエンテーションは人生の指針を見つけ、こころを育てる総合的なプログラムです。生きていくうえで大切な「いのちへのまなざし」「自己との対話」「他者への共感」を育むために様々な体験を学年ごとの行事として用意しています。友達づくりを促進するコミュニケーションアクティビティ、カトリック司祭から聖書や人生の学びを得る講話、広島での平和学習、近隣のカトリック教会訪問、他宗教との交流、自己発見ワークショップ、祈り・瞑想・ミサなどの宗教的な体験、貧困・環境問題について考える参加型授業などを通して、同じ地球で共に暮らす人類の一員として、これからの世界をどのように生きるべきか、体験や人との出会いによって気づきを得て、自分の軸を探していきます。
本校では創立以来、他者や周囲に心を配る活動を大切にしています。中学生は、聴覚障がい・視覚障がいをもつ方の講演やハンセン病について学ぶなど、差別や偏見のない社会を目指す教育を行っています。また、高齢者福祉について理解を深めるため、中1は認知症サポート講座を受講し、中3では老人介護施設を訪問します。6年間を通して、卒業生を中心とした講師による講演から考え方や個性の違いを受け入れながら、ともに成長する社会の在り方について学び、自分たちに何が出来るのかを考えていきます。
「宗教研究」は、授業とは違う角度でキリスト教についてアプローチする清泉オリジナルの通年プログラムです。キリスト教をより深く知りたい、キリスト教を通して自分を見つめていきたい、クラスとも部活とも違う時間・違う仲間とのつながりを持ちたいという生徒のために、週に一度、朝礼前の時間に行われています(信者と希望者対象)。
1泊2日の合宿でプログラムの内容を深めることもあります。基本は学年ごとに分かれますが、時々に応じて全校生徒対象の講演会やミサなどもあり、活発に活動しています。
アメリカのボストンカレッジの中にあるイエズス会教育高等研究所(Institute for Advanced Jesuit Studies)がEver to Excelというリーダー養成プログラムを実施しており、日本からは本校と栄光学園のみが参加しています。
日本にキリスト教をもたらしたザビエルも創設者の一人であるイエズス会の精神が豊かに息づく大学のキャンパスで、アメリカ全土から集まる高校生・大学生と5日間寝食を共にします。プログラムを通して、人生や友情、愛といったテーマを掘り下げて考える中で、自分の変化を実感できます。
スペインの修道会を母体とし、世界中に広がる姉妹校をもつ本校では、周りにいる身近な人のためだけではなく、「世界中にいる何億何十億という人々をこころに抱くように」という創立者の志をもとに、グローバルプログラムを展開しています。コミュニケーション能力を高めるための語学教育、異文化理解と国際交流の機会のみならず、国際平和や地球環境について同じ家に共に住む地球市民としての責任と自覚を促し、持続可能な社会をつくり上げていく使命感とスキルを身につけるため教科を越えた多様な学びを実践しています。
本校は中1から少人数制の習熟度別授業でコミュニケーション能力を養い、インプットとアウトプットをバランスよく配して、自分が伝えたいことを豊かに表現する力を伸ばしていきます。
中1・2はSE・AE・AREの3つのクラスできめ細やかな授業を展開しています。SEは、英語の4技能を基礎から安心して学ぶことのできるクラスで、小学校で学んだ表現を文法の勉強を通して体系化するほか、発表する機会もたくさん用意されています。AEは、海外出版の教科書も併用し、発展的な内容を多く含みます。AREは、2週間に一度の日本人教員が文法等を確認する授業以外はすべてネイティブスピーカーの教員が担当し、リーディング、エッセイライティング、プレゼンテーションをはじめ、様々な活動を通して英語の力を伸ばしていきます。
中3もクラス編成を習熟度別に3つのレベルに分け、その最上位クラス(High Advanced class)は週の半分をネイティブスピーカーが担当し、⽇本⼈教員が担当する時間も含めてオールイングリッシュで授業を進めます。
夏期アイルランド語学研修は、本校教員も同行するため、安心して参加できるプログラムです。同じく夏期には、米国名門女子大の学生と交流する女子高生のためのプログラムや、カトリック系総合大学ボストンカレッジのプログラムもあります。海外での学生生活を体験することのできるニュージーランドまたはオーストラリアでのターム留学(3か月間)は、異文化体験と日本での進学準備とを両立できるように日程が組まれています。また、希望者には高校在学時に1年間留学が認められています(留学による単位認定制度により3年間で卒業することができます)。海外研修だけでなく、国内のプログラムも随時紹介しています。
模擬国連とは、参加者が指定された各国の国連大使となり、地球規模の課題について交渉や議論を重ね、決議を採択するロールプレイング型の大会です。教科の枠を超えて多角的、能動的に学んでいく中で、グローバルな視点で物事を考える力が身につき、国際平和や地球環境のために行動する積極性が養われます。校内では年2回の模擬国連を実施しています。校外で行われる大会では、JMMUN(ジャパンメトロポリタン模擬国連大会)における最優秀大使賞やポジションペーパー賞などの受賞歴があり、また2024年にタイのバンコクで開催された国際大会では、ベストポジションペーパー賞を受賞しました。
東京都世田谷区にある清泉インターナショナルスクールでは、世界60か国約650名の生徒が国際バカロレア認定の授業を受けています。本校では、国内でオールイングリッシュの貴重な異文化体験ができる機会として、中3(希望者対象・条件あり)に、1週間の国内留学期間を設けています(自宅から通学)。
高1・2の希望者には、聖心侍女修道会が運営するホーチミン市近郊のラブスクール(経済的事情で公教育が受けられない子どもたちのための教育施設)のボランティア体験を中心としたベトナム・スタディーツアーがあります。ツアー中には、戦争遺跡を訪れて平和について考えたり、市場に出かけて発展するアジアの現状も体感します。
今日、失われた美しい地球環境を取り戻して次世代に継承することが、私たちの課題の一つとなっています。足元の自然の美しさと巧妙なしくみに感動する心から、人知を超えた自然への畏敬の念と興味関心が生まれます。本校では、野外学習や実験観察を通し、自然の事象から法則性を見出す洞察力と思考力を育みます。また、ICT を活用した協働型の学習を積極的に実践しています。科学技術を、自分の利便性のためだけに使うのではなく、社会をより良くし、環境にやさしく生きるためのスキルとして身につけます。
理科野外学習では、本校オリジナルのテキストとフィールドノートを使用します。中1の野外学習は、学校内で森林観察初級編、植物の分類、森林の土に生息する土壌動物の観察などを一日かけて行い、清泉女学院に広がる豊かな自然から多くの学びを得ています。中2から高1は事前に授業で予習や準備をしたうえで、実際のフィールドで観察や実習を行い、目的地までのバスの中でも理科の教員が車窓から解説します。中2は箱根に行き、大涌谷では生きた火山を体感します。中3は三浦半島に行き、海岸動物や砂浜の植物の生きるための工夫や、様々な地層を観察します。高1は真鶴の照葉樹林と箱根の夏緑樹林の観察を行い、色鮮やかな紅葉の自然林の中に生命の営みを感じます。
実際に自分の手を動かし、五感を使って体験する実験観察を大切にしている本校には、物理室・化学室・生物室・中学理科室の4つの実験室があります。「野菜や校庭のシロツメクサを使った酵素実験」「楽器の音の波形」「食器を使ったやじろべえ」などの身近な素材を使う実験を通して自然現象への興味を深めていきます。また、「豚の腎臓の解剖」「ヒオウギガイの解剖」など、本校の教員が発案した実験も多く実施します。中1の授業では、学校の敷地に咲く6種類のサクラの観察や、1人1台の顕微鏡を使って水中の小さな生物を観察することで、美しい自然が多様性から生まれることに気付いていきます。実験後には、レポートを作成することで科学的に考察する姿勢を養うのが本校の理科教育の伝統スタイルです。
高2・3対象の夏期講座では、物理では大学入試頻出問題演習、化学と生物では実験観察と問題演習を行います。化学では、化学反応の結果発生したさまざまな色の沈殿物を使った水彩絵の具の作成、陽イオンの系統分析、有機化合物の分離、ガラス細工など、生物では、大腸菌の遺伝子組み換え実験、水生生物の多様度指数の算出など、日ごろの授業ではできない実験に時間をかけて取り組みます。また、化学的酸素要求量(COD)など、大学の学びにつながる高度な実験も行います。その後、それらの実験を扱った入試問題演習も行い、理解度を深め知識を定着させます。
本校は、日本教育工学協会より「教科指導におけるICT活用」「情報教育」「校務の情報化」に 積極的に取り組んでいる学校であると評価され、2018年から「学校情報化優良校」として認定されています。中1・2では、夏期休暇のはじめにICT特別講座が開かれます。情報モラルやリテラシーから始まり、タイピング、プレゼンテーションソフト、表計算ソフトなどの基本操作までを幅広く学習します。また、今年度より中1で年間を通して体系的なプログラミング学習を開始します。
ICT 委員会は生徒の発意で立ち上がった委員会で、中3から高2までの有志で構成されています。学校生活の中でICTツールがより身近で快適に使えるような環境を整え、学習ツールとして便利で使いやすいものになるように、生徒たちが自分たちの目線で工夫を重ねています。これまでに、タイピングコンテストの主催や、生徒のためのリンク集サイトの作成、教室予約のデジタル化、他校とのオンライン情報交換会の実施など、生徒自ら立案した企画を行なってきました。これらのICT委員会の取り組みは、生徒主体の活動が評価され、「ICT夢コンテスト」において優良賞を受賞しています。