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校長ブログ

~校長室の窓から~「卒業式」

2022.03.08

 72期の皆様、ご卒業おめでとうございます。そして保護者の皆様にも心からお喜び申し上げます。本日は皆様の卒業を祝し沢山の来賓の方々がいらして下さいましたので、まずご紹介させていただきます。

  カトリック東京教区  森  司教 様

  清泉小学校 教頭   古園 みどり 様

  泉女学院中学高等学校  泉会 会長 横瀬 太郎 様  横瀬  綾  様

  清泉女学院中学高等学校  白水会 会長   様

  ラファエラマリア会 会長   若月  様

 皆様 御多忙中にもかかわらず御臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

   72期の皆さん、いよいよ卒業の時を迎えましたね。6年前 私は皆さんの入学式で次のような話をしました。「自分がどのように進めばよいか。又、自分らしく生きるとはどのようなことなのか これからの6年間にじっくり考えてほしい」と。

 学校目標についても話しました。スルスムコルダー「心を高く上げよ」についてです。私は色々な機会にスルスムコルダーと言っていたので、ある方が「校長先生のあだなを知っていますか。スルスムコルダーって言っている人たちがいます」と教えてくれました。ちょっとびっくりしましたが、きっとスルスムコルダーが皆さんの記憶にしっかり残ったのだと嬉しくなりました。

 ところで個人面談を除き、校長室への訪問者数が一番多かったのは何といっても72期の皆さんでした。校長室のドアが開いているとよく声をかけてくれましたし、カフェテラスで一緒にお弁当を食べたこともありましたね。

 3月の「図書館便り」には先生方が72期に贈る漢字一文字が特集されていました。そこには「光」「躍」「協」「楽」などがあり、皆さんの特徴がよく著されているなと私も同じ感想を持ちました。明るく前向きで、皆で協力して色々なことに取り組む姿に私をはじめ先生方も沢山の元気をいただきました。

 振り返ってみると、この2年間は世界中の人が手探り状態で毎日を過ごしてきました。皆さんが高1のスキー合宿から帰ってきてほどなく新型コロナウイルスの出現により社会の動きが止まってしまいました。そのため楽しみしていた修学旅行や合唱祭も中止せざるをえないという苦渋の決断をすることになってしまいました。そのことは今でも心苦しく思っています。

 その当時、各国がどのようにコロナ対策をとったらよいのか判断できずにいた頃、世界の女性首脳、例えばドイツのメルケル・台湾の蔡英文・ニュージーランドのアーダーンなどの首相が迅速なロックダウンを実施し、感染拡大を抑えた的確な対応が大いに評価されました。これはコロナの感染対策をしながらも変化していく状況に柔軟に対応しながら学校行事を行っていった当時の皆さんにも当てはまりますね。海外では男性同様に女性がリーダーとなって活躍できていることを再認識しました。

 では日本ではどうでしょう。毎年発表される政界や経済界でリーダーとなっている男女の比率、ジェンダーギャップ指数(男女の格差指数)は昨年121位と過去最低、先進国では最下位、アジアの中でも中国や韓国よりも低く特に国会議員などの数では195カ国中165位と極端な低さになっています。現に私も私立学校の校長会に出席すると女性校長は圧倒的な少数派になっています。

 今年の4月から、法律上の成人になる年齢が18歳に引き下げられます。すでに皆さんに与えられている選挙権で、今年の7月に行われる参議院選挙で1票を投じることになります。今まで政治に無関心でしたら、これからは新聞の政治面や立候補者の声を聴くなど政治に関心を持ち、「日本では女性の声が届きにくいという現状を変えていく力」になってほしいですね。

 ところで世界的に活躍している歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリさんは、私たちが今後直面する大きな課題として次の三つをあげています。

 1つは核戦争を含む世界規模の戦争。これはほとんど起こらないと思っていましたが、最近ある国の大統領がとなりの国に侵略的な戦争を仕掛け、抵抗するなら核兵器の使用も辞さないと脅しをかけたと報道されました。いかなる理由があるにせよ子供を含む一般市民が巻き込まれる戦争は絶対に許されません。

 2つ目は地球の自然環境に重大な影響を及ぼすと指摘されている二酸化炭素の増加です。このことは人類の人口増加とともに必要なエネルギーを得るためにあらゆる産業にかかわる重要な課題にもかかわらず、責任の所在が不明確でなかなか目標達成まで困難な道筋をたどることになりそうです。

 3つ目は、A・Iとバイオテクノロジーの革新的な進歩が今後20~40年の間に私たちの暮らしを完全に変えてしまうと予想しています。それは現在ある多くの職業を消失させてしまうかも知れません。そして、この3つ目の課題は最も複雑で、私たちに直接大きな影響を及ぼす可能性があります。今でもインターネットを利用して品物を購入したりすると、その後、次々に別の商品を勧めてきます。これはA・Iが自動的に注文者のデータを読み取り、好みの商品を勧めるというしくみになっているからです。この技術は「買い物」という限られた分野だけにとどまりません。将来これまで個人でしか知り得なかった個人情報が一括してA・Iに管理されてしまう社会が出現する危険性をはらんでいます。

 以上ハラリさんが指摘した課題はいずれも皆でしっかり取り組まなくてはならない問題です。これからは情報があふれ、中にはフェイクニュースやいい加減な情報がまことしやかに出現してくるかもしれません。皆さんは今後それらを選別できる正しい知識をさらに身につけて下さい。清泉で学んだ皆さんは紙の上の勉強だけでなく、まわりの人の喜びを自分の幸せと感じられることの大切さを学んできたはずです。そのことを忘れずに、これからの遭遇するいろいろな場面で自分の力を社会のために発揮してほしいと思います。

 最後になりましたが保護者の皆様、いつも学校をあたたかく支え、協力して下さりありがとうございました。保護者の皆様からも沢山の力をいただきました。心から感謝しております。神様の豊かなお恵みが皆様の上にありますようお祈りしています。

  

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