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校長ブログ

~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話し(外国語科 丹伊田先生)」

2021.10.27

 皆さんは何か日々大切にしているものや信念などはありますか?

すぐに思い浮かんだ人もいれば、うーん何かなと考えた人もいるかもしれません。

私が大切にしていることは「想像力をもつこと」です。想像力といっても、常に新しいアイディアを持っていたい、だとか豊かな発想を持っていたい、ということではありません。私が大切にしていることは「相手の気持ちを想像」する、「相手の立場を想像」することで、相手やその気持ちに寄り添おうとすることです。これを大切にしたいと思ったのは皆さんくらいの年齢の時に経験したあるできごとがきっかけでした。

私は小学生のころ数年間アメリカに住んでいたことがあり、通っていた中高にもいわゆる「帰国生」枠で入学しました。そのため私は誰にも言われていないのに、「英語は常にいい点を取らなければ。」「英語だけは点を落としてはいけない」と自分で自分にプレッシャーをかけ、必死に勉強していました。ですがいざいい点数を取ると友人に言われたのは「帰国だもんね。さすが~」「そりゃそうだよ。英語しゃべれるじゃん。当たり前だよ。」という言葉。テストが近づいてきて不安な気持ちを口にすると「え~帰国じゃん。勉強しなくてもいい点とれるでしょ?」「そんなにやらなくても大丈夫だよ。いいなあ帰国は。」と言われました。幼かった私は正直その言葉にかなりイラっとしていました。「私が裏でどんな努力しているかなんて知らないくせに。」「私の気持ちなんてしらないくせに。」「なんでわかってくれないのだろう?」そんな風に考えていました。しかし同じような言葉を言われたある日、モヤモヤしながらもふと思ったのです。「なんでわかってくれないのだろう、とか私の気持ちなんて知らないくせに」と「私の気持ち」ばかり考えていたけど、相手の気持ちは考えたことがあっただろうか?私がその友人の立場だったらどう思うのだろうか?」と。「友人のようにもし中学で初めて英語に触れていたら?苦労しているなか、隣には英語に慣れている人がいたら?私も同じように思うんじゃないだろうか…友人があんな風に言うのも納得できる。というか、自分も帰国じゃなければそう言うな。」そう思いました。このように考えられるようになってから、私の心はずいぶん軽くなりました。同じようなことを言われても、「あは」、なんて適当に流して、いやな気持になることもなくなりました。「相手のことを想像して、考え方を少し変えるだけでこんなにもものの見方やとらえ方は変わるのか。」と思えたできごとでした。

私はよく頭の中で、「あの発言はよくなかったな。あの行動は間違いだった。もっとこうするべきだった。」と一人反省会をしてしまうのですが、その大抵は想像力が足らなかった結果であり、いまでも想像力をもつことの大切さを日々実感しています。

また、想像力とは思いやりそのものだと私は思います。例えば街でみかけるバリアフリー。それはなにか不便を感じている人の立場から世界を見たとき、私たちの「普通や当たり前」のどこに壁を感じるのか。どんな工夫がされたら過ごしやすいのかを「想像」し、形にした結果ではないでしょうか。

「これはこうしたほうが良い。こうあるべきだ。」とはっきりとした考えを持つのは大切です。しかし、自分の見ている世界、自分の価値観は絶対ではないのです。

みなさんにもぜひ想像力を働かせて、「柔軟な思考、そして温かい心を持った人になってほしい。」そう思ったのでした。

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