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2021.07.07

~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話し(倫理科 大河内先生)」

    早いもので2021年の上半期が過ぎました。パンデミックのためか、昨年はあっという間でしたが、一方、コロナ以前のことがやけに遠い昔のように感じてしまい、時間感覚が狂ってしまったような気がします。しかし思い出してください。2019年11月には教皇フランシスコが初来日し、本校からも150人の生徒が東京ドームのミサに参加したことを。

 教皇は広島を訪れた際、「核兵器の使用と保有は倫理に反する罪である」と明言なさいましたが、その言葉は、昨年全世界に向けて出された回勅(Fratelli Tutti)の中にも共鳴しています。この回勅のテーマは「兄弟愛」と「社会的友愛」についてです。7月の私たちの月目標と同じですので、今朝はその兄弟愛についてお話ししたいと思います。

 兄弟愛と訳されている言葉は、英語ではfraternity スペイン語ではfraternidad、両者ともラテン語のfrater(兄弟)という言葉を語源としています。兄弟と言っても、同志や同国民という広い意味のある言葉なので、「友愛」とも訳されます。自分自身から抜け出し、自分の「仲間」の世界を超え、境界線を設けずに地球という一つの船に乗った者同士、尊重し合い、助け合っていくことを「兄弟愛」と「社会的友愛」と教皇は呼んでおられるのです。

 その実践例の一つをご紹介しましょう。今年の3月、教皇はイラクを訪れました。イラクはこの数十年来、戦争やテロ、原理主義者による闘争が繰り返され、11年前には、バグダッドのカテドラルがISの襲撃を受け、カトリック教会もその犠牲となったところですから、イラク側も厳戒態勢で迎えました。

歴史を見ると、イラクはメソポタミア文明が栄えた地であり、旧約聖書のアブラハムの出身地でもあります。「アブラハムが生まれ、神の声に従い旅立ったこの場所から、共にアブラハムを父祖として尊ぶ、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、そして他の宗教の人々が、互いを兄弟姉妹として、天の星を見つめながら、平和の道を共に歩んでいけるように」と教皇は全世界にメッセージを送り、イスラム教シーア派の最高権威であるシスタニ師とも会見されました。

また、「神の名のもとに殺人やテロや迫害が正当化されてはならない」こと、「イラク社会の宗教・文化・民族の多様性を、紛争の種ではなく、社会の調和と協力を生み出すものとして、世界、特に中東に示さなければならない」ことを話されました。さらには、戦争に対して、別の戦争で答えるのではなく、兄弟愛で答えるべきだと強調され、それがイラクだけでなく、全世界が挑戦していく課題だと説かれました。

未だ戦火の絶えないこの世界にあって、平和を祈り続けることは、徒労にすぎないのではないかという誘惑に陥る私たちに向けて、教皇は励ましのメッセージを与えてくださっています。「イラクでは、破壊と戦争の音がとどろく時にも、国の象徴であり希望の象徴であるヤシの木は、静かに育ち、実をつけた。兄弟愛も同様に、音を立てることなく、しかし豊かに実り、わたしたちを成長させる」と。教皇がよく使われる言葉の中に、「平和をつくる職人になりましょう」という表現があります。平和を手作りする職人です。手を合わせて祈るたびに、この掌の中に平和な世界の種が育っていくように、私たちも兄弟愛に満ちた未来を、全世界のために祈り続けましょう。

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