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校長ブログ

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2021.06.22

~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話し(社会科 野村先生)」

 私は以前、沖縄に9年間住んでいました。米軍の飛行機やオスプレイが飛び、米軍の車両が一般の道路を走るというのはごく当たり前の光景でした。その沖縄にとって、明後日、6月23日は特別な日です。「沖縄慰霊の日」といって、沖縄での戦争が終わったとされる日です。アメリカ軍は、1945年3月に慶良間諸島、4月に沖縄本島に上陸しました。これに対し日本は、日本本土にまで攻め込まれたら困ると考えて、沖縄になるべくアメリカ軍をひきとめて時間をかせぐ「持久戦(じきゅうせん)」の作戦をたてました。沖縄の10代の若者たちも戦争に駆り出され命を落としました。沖縄戦の教訓として「軍隊は住民を守らなかった」と語りつがれています。日本軍はアメリカ軍から住民を守ってくれる存在ではなく、日本軍のために安全な場所を奪われたり、スパイ扱いされた人がいたりしたのです。

1945年6月23日。最終的には、沖縄戦によって県民の4分の1以上が亡くなったと言われています。

 昨年11月、安里要江さん、という沖縄の女性が亡くなりました。99歳でした。2人の子どもや夫、母親ら親族11人を失った方で、90歳を過ぎても沖縄戦の実相を伝える最高齢の語り部として、精力的に活動なさっていました。私も90歳を超えた安里さんの講演をお聞きしたことがありますが、体調が万全ではないなか、熱のこもったお話に感銘を受け、戦争を繰り返してはいけないという思いを新たにしました。著書に『沖縄戦 ある母の記録』という本があり、安里さんの体験が詳細に書かれています。印象的な言葉として、「戦争の最大の悲劇は、人間が人間でなくなることである」という言葉や、「戦闘による最大の犠牲者は現地の非戦闘員である」「戦場では弱いものから順に犠牲になっていった。弱肉強食の論理が人間を支配するのが戦場」など、枚挙にいとまがありません。実際に地上戦を体験をされた方の言葉は重みが違います。

 ただ、その本を読み返してみて、なお思うことがあります。たしかにその本を読めば、どのような光景が繰り広げられたのか、どのような人々がいたのか、といったことを知ることができます。しかし、その本をどれだけ深く読んだとしても、安里さんから直接お話を聞くときほどは、安里さんの気持ちを感じることはできないのだと。

沖縄戦の実体験を持った方は年々少なくなっています。つまり、色々な情報は得られるが、当事者の気持ち・思い・感情といったものを直接受け止める機会がなくなる。永遠にその機会が失われる日が近づいている、ということです。

 平和を築き、平和を維持するためには、賢い頭で考えることと同時に、豊かな感性で当事者に思いを馳せること。この二つが欠かせません。沖縄慰霊の日を前に、沖縄に関心を持ち、沖縄の声に耳を傾ける。そういう人が少しでもいてくれたら嬉しいです。

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