新着のお知らせ

校長ブログ

~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話し(社会科 望月先生)」

2021.05.10

    おはようございます。今日は、今月の月目標である「生命の尊重」についてお話させていただき ます。 私の義父にあたる望月の父は、今も 92 歳で、上野で元気に一人暮らしをしています。その父か ら聞いた話を今日はお伝えしたくなりました。東京大空襲の日、それがちょうど 76 年前の今日と 同じ、3 月 10 日にあたるのですが、父はその時 16 歳、空襲警報が鳴って、兄弟も多い父が家族数 人で逃げようとしたとき、父のお母さん、つまり私の義理の祖母にあたる人が、急に鉄のお釜にお 米をといで鉄の蓋をして、そのまま置いたままにして、家族みなで逃げたのだそうです。空襲で、 あたり一面焼け野原になり、放心状態で家のあったところに戻ってみると、なんとそのお釜が残っ ていて、蓋を開けてみると、真っ白なご飯がふっくら炊けていた、というのです。皆そこでふっと 我にかえって、無心で食べたんだ、と言っていました。父の話を聞いて、祖母の、とっさの行動の 中に、生きる、ということ、命を守る、という、母としての深い思いが、伝わってきました。 命、この言葉は、私にとって、神の存在をストレートに感じる言葉でもあります。神の天地創造、 生き物であれ植物であれ自然界のすべてのものは、人間を超えるはかりしれない力によって生まれ ています。よく思うのですが、人間は木で物を作ることはできても、木そのものは作れません。そ こに私は神の創造を身近なところで感じるのです。聖書では、生命を表すとき、「息」「息吹」とい う言葉で表されます。創世記に、神が人間を作られたとき、「その鼻に息を吹き入れられた」とあ ります。そしてつくられたすべてのものを「良し」とされました。木々も芽吹く、この新緑の美し い季節に、自然界のありとあらゆる命の存在と神の息吹を感じて過ごしたいと思います。 ところで、新型コロナウィルス感染拡大で今多くの人の命が失われています。またニュースを見 ると、ミャンマーの軍事政権の問題、アメリカの人種差別の問題をはじめ、世界各地で差別や対立 により不当に命を奪われるニュースがあとを絶ちません。 私はコロナ禍の休校中、長崎大学教授の山本太郎という人が書いた『感染症と文明』という本を 読みました。人類は古代文明のころから感染症と戦ってきました。著者はこのように言っています。 「今こそ、あえていえばウィルスとでさえ、共生=ともに生きることを考えるべき時代なのだ」と。 人類は今まで自分たちのことを中心に考え、自然環境のバランスを破壊してきました。今こそ地球 レベルの住み分け、バランスに目を向ける必要があるのではないかと著者は投げかけています。 人間にとって合わないものも含めての「共生」。自分とは違うものとの「共存」。これは、実は地 球環境の問題だけでなく、世界のいろいろな社会問題、そして自分の日々の生活の中ででも、私た ちにとって、考えていきたい大切なことなのではないでしょうか。神の同じこどもとして「共に生 きる」ということを、改めて一緒に考える月でありたいと思います。 最後に宗教部より1つお知らせです。月ミサを再開いたします。今年度第 1 回目を 6 月 15 日 (火)16:45 から図書館棟側の聖堂で行います。司式は雪の下教会のスダーカル神父様です。特に 誕生日月が 4 月から 6 月の方は神父様から祝福をしていただけます。今年度予定では、9 月、10 月、1 月、2 月にもミサを行う予定です。日程が決まり次第、ポスター等でご連絡しますので、是非ご参加ください。以上でお話を終わります。

TOP新着のお知らせ校長ブログ > ~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話し(社会科 望月先生)」