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校長ブログ

~校長室の窓から~「 卒業式」

2021.03.08

 71期の皆様、ご卒業おめでとうございます。そして保護者の皆様にも心からお喜び申し上げます。新型コロナウイルス感染防止のため、昨年に引き続き今年度も卒業式を縮小して行うことになり、卒業生および保護者の皆様には申し訳なく思っております。

 コロナウイルスとの戦いは、初めのうちは数ヶ月で収束するのではと思っていました。しかし1年を経過し、収まる傾向にはありますが変異ウイルスの出現もあり、今後のリバウンドを懸念して先日緊急事態宣言が再延長されました。接種が開始されたワクチンの普及により、一日も早く感染前の日常生活を取り戻せる日が来ることを願うばかりです。

 清泉の創立者、聖ラファエラマリアの時代にはコレラが蔓延し、毎日沢山の人が亡くなったという話を聞いていましたが、医療が発達した現代でさえもこのようなパンデミック(感染爆発または世界的大流行)がおこることを私たちは身をもって体験しました。受験をひかえていた皆さんもさぞ不安な一年を過ごされたことでしょう。

 そもそも歴史をたどれば人類はウイルスとの戦いに明け暮れていました。古くは天然痘、ペスト、コレラ、近代では各種のインフルエンザ、エボラ出血熱、エイズなどです。この中で地球上から完全に消滅できたのは天然痘だけではないでしょうか。そして次の新型ウイルスも出番を伺っていることでしょう。

 今回登場した新型コロナウイルスの感染拡大がいかに世界中をパニックにおとしいれ、社会生活に大きな影響を及ぼしたかこの1年 の当たりにしてきました。ですからどのようにしてこの困難を乗り越えていったかをしっかり記憶に残し、パンデミックを経験した生き証人として後世に語り伝えていかなくてはなりません。

 皆さんは清泉女学院を卒業し、これから新しいことを色々学び、チャレンジできる未来が待っています。楽しみですね。でももっと先を見て下さい。10年先20年先まで私たちはこれまでのような日常生活を送ることができるのでしょうか。答は「・・・?。」それは次のような切実な問題が待ち受けているからです。一つ目は、人口増加に伴う世界規模の食糧不足の到来です。日本の人口は減少していますが、アジア・アフリカなどを含めればまだまだ爆発的に世界の人口は増加し続けています。二つ目は、温暖化による地球規模の気候変動です。最近でも季節が1ヶ月くらい早まっていると感じるのは私だけでしょうか。また雨の降り方も熱帯地域のような激しい降り方をするようになってきたと思います。三つ目は、いずれは枯渇する化石燃料に変わるエネルギーの開発です。再生可能エネルギーへの変換が叫ばれていますが現実にはあまり進展していません。

 以上のような簡単には解決できそうもない課題が私たちの将来に横たわっています。これらの課題はいずれ必ず人類全体の問題として解決しなければならない時が20年~30年後、必ず訪れると思われます。そのとき地球の将来に向けて何が適切かをしっかりと見極める力を今から養っておいてほしいと思います。

 さて6年前の2015年4月7日は皆さんの中学入学式でした。この年は清泉の桜がいつもより早めに満開になってしまいましたが、なんとか頑張って咲き続け皆さんをお迎えすることができました。そのとき私が皆さんに向けてどんな話をしたか覚えていますか。このような話をしました。「清泉が大切にしているのは勉強とともに心の教育です。勉強がいくらできても、人の痛みを理解できない人になってほしくありません。」そこで2つのことをお願いしました。1つは、学校の勉強を大切に。特に中学で習う科目は全て将来の基礎となる科目ですから、個人的に好き嫌いがある科目でも学習すべき基礎はしっかり身につけること。次はまわりの人の喜びが自分の喜びになるような人になることでした。そしてその年の学校目標を覚えていますか。それは「SURSUM CORDA」でした。それは図書館棟にあるステンドグラスにも書かれています。ラテン語ですが日本語では「心を高くあげよ!」です。「両親から与えられた能力を高く伸ばしなさい。そしてまわりの人の心に光と喜びを与えられる人になって下さい」という話をしました。どうですか。目標はどの程度達成できたでしょうか。その後、高2になってお一人お一人と面接をしました。皆さんが中1のときの入学式やオリエンテーションの写真を見直してみると、その成長ぶりには目を見張りました。

 6年間清泉で学んだ皆さんは聖ラファエラマリアの言葉「すべての人が幸せになるように働くこと、それが本当の愛」がしっかり心の中に住みついて成長してきたと思います。ですから自信をもって新しい世界に一歩を踏み出して下さい。

 そしてこの6年間、清泉女学院の教育を支えて下さり、長い間学校のために力を貸して下さった保護者の皆様には心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 誠実で何事にも一生懸命取り組んできた71期の皆さんは、これからの社会に光をもたらすことのできる方々だと信じています。どうぞお元気で。神様の豊かなお恵みが皆様の上にありますようお祈りしています。

下の門の玉縄桜

71期卒業式

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