~校長室の窓から~ 「入学式」
2024.04.06
80期中学1年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また保護者の皆様もお子様のご入学、おめでとうございます。最近では珍しく桜の花が満開の中入学式を迎えることができ、嬉しく思っています。
さて、新入生の皆さんにとって、中学に入って一番大きな変化は何でしょうか?今まで私服で小学校に通っていたのが制服になった、という人もいます。徒歩通学だったのが電車やバスでの通学になった、という人もいます。自分専用のクロームブックを持つようになった人も多いでしょう。女子だけの学校生活になった、というのはほとんどの人に当てはまりますね。
小学生から中学生になる、特に私立のカトリック女子校に入る、というのは大きな変化だと思いますが、その変化を是非楽しんでほしいと思います。清泉は約90年前、ヨーロッパから船で日本にやってきた4人のシスターが準備して76年前に出来上がった学校です。日本のことをよくわからないのに、日本語も話せないのに日本で女子教育を、と情熱を持って学校づくりに励んだシスターたちはまさにチャレンジャーでした。そして、今日皆さんは80期生としてチャレンジャーの歴史につながったわけですから、皆さんもチャレンジャーになってくれるとよいな、と思っています。
チャレンジャーは何も大きなことに挑戦する人とは限りません。身近な課題を何とかしようとしたり、新しいことを何か始めてみよう、やりたいと思っていたことを実際やってみよう、と思ったらそれは立派なチャレンジです。では、チャレンジをするのに必要なものは何でしょうか?何か困難に出会ってもくじけず頑張る心とか、何としてもやり遂げる根性、などが思い浮かぶでしょうか? 確かにそういうものも必要かもしれません。でも私はまず大事なことは「自分からやってみようと思うこと。そして変化を楽しむこと」だと思います。中学に入ったら、小学校ではできなかったこともやれるチャンスが増えてきます。学校でも色々皆さんの興味をかきたてそうなことを行います。授業やクラブ活動はもちろんですが、そのほかに例えば外国に興味があったら模擬国連や海外研修、平和について考えたかったらピースプロジェクトなど、「面白そうだな」と思ったらぜひやってみてください。やってみると必ず自分の中の何かが変わります。今まで気づかなかったことに気づいたり、こんな見方もあるんだ、と見方が変わったり、何かができるようになったり。小さなことでもその変化を楽しんでほしいと思います。そうすると自分の成長を感じられます。
そしてチャレンジャーの条件の2つ目は「失敗から学ぶ」、ということです。新しいことをやってみる、ということには失敗のリスクがあります。失敗はもちろん誰もしたくないし、上手くいった方がうれしい。でも失敗しないように、とばかり考えていては最初の一歩が踏み出せません。「失敗したら恥ずかしいなぁ」と思うこともあるでしょう。でも失敗自体が恥ずかしいというより、失敗して何も学ばないことの方が恥ずかしいのです。ここにいる先生たち、もちろん私もしょっちゅう色々な失敗をしながら、「次は気を付けよう」とか「次はここを直そう」と思いながら生きています。「失敗は成功のもと」、とよく言いますが、私は「失敗は成長のもと」だと思います。成功するかどうかは正直わからないけれども、でも失敗から学んだことは確実に私たちを成長させてくれます。
今から1年ほど前に作られたあるコマーシャルのナレーションを紹介します。映像はお見せしませんが、誰のことかわかりますか?
「僕はプロになってから928回三振して打たれたヒットは647。
ホームランは59本打たれ、失点は281。
チャンスで506回凡退して、ケガで692日投げられなくて、試合に負けて泣いた日もたくさんあった。
二刀流が無理だと言われたことは数えきれない。
でも二刀流が無理だと思ったことはない。」
もう途中でわかりますね。そして、このコマーシャルの最後のことばは「失敗の数だけ僕らは成長できる。」です。
もう一つ言葉を紹介します。皆さんもよくご存じのマザーテレサは色々な言葉を残しています。彼女が作った詩で、「Life is…」(人生は。。。。)というものがあるのですが、その中でマザーテレサは “Life is an adventure. Dare it”[と言っています。日本語にすると、「人生は冒険。思い切ってやりなさい」。これも私たちの背中を押してくれる言葉ですね。
マザーテレサはカトリックで、清泉もカトリックのミッションスクールです。ミッションスクールというのは私たち一人一人、ありのままで神様から大切にされている存在だから、自分自身もそして周りの人たちも大切にしよう、と考えます。ここで出会った人たちはきっと神様に集められた人たちです。お互いを大切に、助け合いながらチャレンジャーとして新しい学校生活を始めていきましょう。