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校長ブログ

~校長室の窓から~ 「放送朝礼のお話 数学科 富田先生」

2023.11.16

 今月の学校目標は「喜び・希望」です。聖書のテサロニケ人への手紙には「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことに感謝しなさい」と書かれています。この言葉は、今月のポスターにもあります。ただ、「いつも喜んでいなさい」と言われても、「つらいとき、なかなか思うようにいかないときに喜ぶなんて無理」と思いますよね。それでも心とは反対に笑顔を作ればよいのでしょうか。

 私は昨日、あの寒い中、好きなチームのサッカーの試合を見に行きました。そのチームは今シーズンの優勝の可能性が残っており、昨日は何としても勝たなくてはならない試合でした。何度ゴールを攻めても点が入らずにいましたが、やっとゴールを決めたときスタジアムは大歓声でした。そしてリードのまま試合終了のホイッスルが鳴ったとき、みんなで喜びを分かち合いました。これも喜びです。

 でも、先ほどの聖書にある「喜び」の意味は、私たちが普段考える「喜び」とは少し違うのかなと思います。

 以前「好きな聖歌は?」と聞いたとき、「ごらんよ空の鳥」をあげた人が多かったです。曲が好きという人も多いでしょう。そして歌詞が好きという人も多いのではないでしょうか。私も歌詞が好きです。「こんなに小さな命にでさえ、心をかける父がいる」という言葉になんかほっとします。2番の「どんなに悲しい悩みの日にも希望をそそぐ父がいる」という言葉にぐっときます。この聖歌を歌うとなんか喜びに満たされるというか。その喜びはとても静かな喜びです。その源は何なのでしょうか。

 そこで私が思い至ったのは、「自分に注がれる恵みを感じるとき、そこに喜びがある」ということでした。そして、その恵みは、私が感じるか感じないかにかかわらず、いつも注がれているのだと思います。神さまは何も無茶なことを言っているのではなく、「いつも喜んでいなさい」は「いつも恵みを注いでいるよ」と同じことなのではないでしょうか。

 さて、もうひとつは「希望」です。

 皆さんはアフガニスタンという国を知っていますか?今も毎日戦争のニュースが伝えられていますが、戦争、紛争は世界のあらゆるところで続いています。パキスタンとイランに隣接するアフガニスタンも何十年も紛争が続いている国です。今はタリバンが支配し、特に女性の人権が抑圧されています。

 そのアフガニスタンで一時期、民主的な政権が樹立されました。そのときの大統領が「世界からどのような援助を望みますか?」と質問されたときの答えに私は予想外で驚きました。普通は「インフラの整備」とか「産業発展のための経済援助」と言うと思ったのですが、その答えは「教育」でした。私にとって「教育」は普通にあるものでしたが、教育が国の復興の基礎となり希望につながること、それを切望していることを知りました。

 皆さんは識字学級を知っていますか?「識字」は「知識の識に漢字の字」と書きます。様々な事情で学校に行かれず、または外国から来たために日本語がわからず、字の読み書きができない人たちが学ぶ場所です。私は大学生の頃に識字学級に参加させてもらったことがあります。そこで私たちには当たり前の「字の読み書き」が人生に光をもたらすことを知りました。「社会からの疎外感」からの解放でもあり、そこで学ぶ人たちが「自分の字で、自分の言葉で自分を表現する姿」は本当に力強く、そして光っていました。そのとき、本来、教育は生きる力につながるのだということを知りました。

 「字の読み書き」だけでなく、学びは希望につながります。それは未来をつくります。学校ではその種がたくさんまかれています。それは勉強だけはありません。皆さんは多くの人たちと関わり、多くの経験をしますよね。そしてそのとき、何か心が動くと思います。その心が動くことが、きっと希望のエネルギーになっているのではないでしょうか。皆さんの毎日が希望につながることを願っています。そして、その希望が社会の希望、世界の希望にもつながりますように。

 最後に清泉での授業もあと2週間となった高3の方たちへ。今は一生懸命、未来に向けて努力していますね。ぜひ、その努力が実りますように。そして、皆さんは卒業後は自分で「希望の道」を歩くことになります。ときにはその道が見えなくなるかもしれません。迷ってしまうことがあるかもしれません。でもあなた方の道にはいつも神さまの恵みが注がれていることを忘れないでください。どんなときにも希望が注がれています。喜びのうちに歩めるよう心から祈り、応援しています。

中2パレスチナ組
白土奈々果さん作品

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