おはようございます。今朝は、私の読書体験についてお話をしたいと思います。中2以上の方は、ちょうど1年くらい前に2月の月目標「責任」についての話の中で、黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」の続編の中のエピソードを取り上げたことを覚えているでしょうか。今日は続編ではなく、最初の「窓ぎわのトットちゃん」にまつわる話です。
私が小学2年生の時に父がアメリカに転勤になり、家族で引っ越すことになりました。父は一足先にアメリカに行き、夏休みに入って母と私の二人で後から向かいました。その時の私は、国際線はおろか国内線にも乗ったことがなく、初めての飛行機の旅がなんと太平洋を越えてアメリカの東海岸まで行く、10時間を超えるものになってしまったのです。飛行機の中で読むために2冊ほど本を持って行きましたが、小学校低学年が読むような本はあっという間に読み終わってしまい、私はすぐに退屈していました。隣に座っている母が「窓ぎわのトットちゃん」を読んでおり、そのうちに読み終わったので、私はその本を読んでみることにしました。しかし、大人向けの本だったので漢字にはルビが振られておらず、2年生の私には読めない漢字だらけでした。読めない漢字が出てくるたびに「ねえ、これは何て読むの?」「こっちは?」と母に尋ねながら読み進めました。最初のうちこそ逐一教えてくれていた母でしたが、そのうちに面倒になったのでしょう、「漢字が全部読めなくてもだいたい内容はわかるでしょう。」と突き放されてしまいました。それでも内容がおもしろかったので、私は自力で頑張って読み続けることにしました。読めない漢字がたくさんある本を読み進めることは簡単ではなく、途中で諦めたい気分にもなりましたが、お話の続きが気になって結局最後まで読み切ることができました。読み終わった時には大きな達成感を感じたことを覚えています。今振り返れば、この時の体験が私の読書の土台となったように思います。アメリカでは、英語がある程度わかるようになってからは英語の本もいろいろ読みましたが、日本語の本もたくさん読みました。祖父が、私が日本語を忘れないようにと、船便で大量の日本語の本を送り続けてくれたのです。また、平日は現地校に通いながら、土曜日は日本人の先生が国語と算数を教える日本語補習校に行っていたのですが、補習校の小さな図書室で毎週何冊も本を借りてきていました。アメリカにいた約3年半は私の人生の中で一番たくさん本を読んだ時期でした。中学、高校と進むにつれて、他のことが忙しくなり読む量は減ってしまいましたが、今でも読書は大好きです。
私が読書を通して得たものは、大きく2つあります。一つは、本、特に物語を読むことで、そこに描かれている場所や登場人物、登場人物の気持ちなどを思い描く力がついたことです。そのことは、私の世界を広げてくれましたし、直接目に見えないことを想像する力を豊かにしてくれました。もう一つは、本を送ってくれた祖父の狙い通り、私の日本語の力が落ちなかった、というよりむしろ伸ばすことにつながったということです。日本に帰ってから、国語は英語の次に得意な科目になりました。しかしそれ以上に、英語を学ぶ上で国語力が役立ったと思っています。特に高校の難しい英語長文を読むためには、単に単語の意味や文法がわかればよいというものではなく、読解力がものを言います。また読みとったことを自分の言葉で説明するためにも、日本語の表現力が必要です。私はそれらの力を読書を通じて伸ばすことができました。皆さんも、人生を豊かなものにするために、そして英語の力も伸ばすために、ぜひたくさん本を読んでください。




