新着のお知らせ

校長ブログ

~校長室の窓から~「始業式」

2023.04.05

 始業式の初めに、聖書の「エフェソの信徒への手紙」が読まれました。私たちが神様に愛されていて、赦されている存在だ、と述べられていました。清泉が大事にする10の価値においても愛は中心に据えられていて、4月のテーマになっています。教室にポスターが貼られていると思います。それには「隣人を自分のように愛しなさい」という聖書の言葉が書かれています。

 

 皆さんは倫理の時間に「愛」について学ぶ機会があります。一般的に日本語の「愛」という言葉はしばしば「好き」という言葉と同じ意味に使われてしまいます。恋愛もそうだし、「映画を愛する」と言ったら「映画が好き」という意味ですね。そのようなイメージがあるので、例えば「隣人を愛しなさい」と言われると、いじわるな相性の悪い人とも仲良くなって好きにならなくてはいけないのだ、と言われてしまっている感じがします。でも「隣人を愛しなさい」の「愛する」というのは別に好きになる、ということではなくて「大事にする」「大切にする」ということなのだ、と皆さんは学んだと思います。

 

 マザーテレサは愛の人だと言われていますがマザーテレサは貧しく身寄りのない人たちを好きになったわけではなく、彼ら皆の尊厳を守り、一人の大切な人として接した、ということですね。ですから、4月の月目標の「愛」も新年度、新しいクラスで周りの人を大切な一人の人として接してほしい、という思いがあります。もちろん考え方や感じ方が自分とは違う、合わないな、と思うこともあるでしょうけれど、違いがあるからと言って排除するのではなくて理解に努めてほしいし、心無い言葉や行動で傷つけたりしないように自分の行動を振り返ってみてください。それが今よく言われる多様性を認める、ということにもなります。多様性というのはLGBTQや異文化に限らず、日常の身近な人との考え方や感じ方の違いも含まれます。違う文化、違う考え方、違う感じ方に触れる、ということはちょっとびっくりすることもあるし、面倒だと思うことも正直あります。でも「そういう考え方や感じ方もあるのだ」とわかると、その分自分の世界や視点が広がります。自分自身「こうでなくてはいけない」と思い込んでいた縛りから解放されることでもあります。

 

 今「愛」から「多様性を認める」に話が移りましたが、多様性について覚えておいてほしいことがあります。多様性を認める、というのは自分との違いを理解して尊重することであり、金子みすゞさんの詩のように「みんな違ってみんないい」と認めることでもあるのですが、本当に多様性を認めるためには自分の軸と言いますか、しっかりした価値観が必要です。「こんなふうに考える人もいる、あんなふうに考える人がいる、では自分はどう考えるのか」、というのがないと、多様性の中で自分を見失ってしまいます。自分の軸がないと人の考えに流されて、自分が本当に望んでいることは何か、自分とは何か、どういう考えをもっているのか、がわからなくなってしまいます。ですから、皆さんには自分の軸をしっかり持ってほしいと思います。どうすれば持てるのでしょうか?それは、この清泉での日々のあらゆる学びの場にヒントがあるので、見つけてください。そこから学ぶことで得られると思います。ですから新年度にあたり、学校での授業や課外活動にぜひ真剣に取り組んでください。

4月目標

TOP新着のお知らせ校長ブログ > ~校長室の窓から~「始業式」