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校長ブログ

~校長室の窓から~「卒業式」

2023.03.08

 73期の皆様、ご卒業おめでとうございます。又、保護者の皆様にも心からお喜び申し上げます。本日は皆様の卒業を祝し沢山の来賓の方々がいらして下さいましたのでご紹介させていただきます。

 

学校法人清泉女学院 理事長 深澤 光代 様

元法政大学総長 田中 優子 様

清泉小学校 校長  有坂 奈保子 様

清泉女学院中学高等学校 泉会 会長  関 浩子  様

清泉女学院中学高等学校 白水会 会長    様

ラファエラマリア会 副会長  長島 玲子 様

皆様 御多忙中にもかかわらず御臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

 

  さて73期の皆さんは2017年4月6日、この城廻の地で入学式を迎えました。そのとき校門付近の桜が満開だったと記憶しています。そして今日の日を待っていたかのように玉縄桜が満開になりました。学校にある玉縄桜は皆さんが入学する2年前に植えたものです。はじめは細くて小さな苗木だったのですが、皆さんのようにすくすくと成長し沢山の花をつけました。

 ところで入学式で私は次のような話をしました。皆さんは覚えているでしょうか。

 まず1つ目はローマから送られてきたビッグニュースのことです。この年の1月2日に教皇フランシスコが、お忍びでローマのベンテ・セッテンブレの聖心侍女修道会を訪問されたこと。そしてそこに安置されている聖ラファエラマリアの御遺骸の前で長いお祈りをされた後にシスター方と歓談されたというニュースでした。今日、来賓として参列してくださっているSr.深澤が、当時全世界の聖心侍女修道会の総長様としてローマにいらしたときでした。その様子を伝える教皇様とシスターズの写真が送られてきて、改めて清泉の創立者の偉大さを実感し、感動したのを今でも覚えています。

 2つ目は「皆さんがこれから清泉で過ごす6年の間に、おそらく様々な出来事がおこり、国内にとどまらず世界規模で急激な変化が起きていくことでしょう」と話しました。はたして予想通り2020年には新型コロナウイルスが全世界に蔓延してパンデミックを起こしました。それにより全世界規模であらゆる日常生活が大きな影響を受け、予定していたオリンピックが1年延期されました。そして昨年2月には第二次世界大戦以降最も世界的な危機をはらんだ戦争がウクライナで起きてしまったことです。

 6年前に私が予想していたのは、火星への宇宙旅行、ロボットの実用化、立体テレビの出現、生体認証の普及などでした。どれも平和で楽しみな世界の変化の予想でしたが現実は全く異なる事態になってしまいました。皆さんの学校生活も3年前から今まで通りには送れなくなり、高2のとき楽しみにしていた行事に参加できなくなってしまった方々もありました。当時、学校の判断を理解し協力して下さった生徒の皆さん、そして保護者の方々にはこの場を借りて改めて感謝申し上げます。

 特に未知の新型ウイルスの出現は私たちの日常生活を一変させてしまいました。2020年1月に国内初の感染者が確認されると、肺炎が悪化して亡くなる例が報道され、このウイルスの脅威を強く感じたことを今も思い出します。この後、変異株が次々に出現し8つの波を経て今年の5月には、このコロナがインフルエンザと同じ病気に分類されることが決まりました。私たちは今まで常にマスクの着用、食事は完全黙食、友達との会話もままならぬ日々が続きました。最後にぎりぎりの判断で実施できた清泉祭や修学旅行でした。そんな状況でもコロナ対策をしながら、刻々と変化していく状況に柔軟に対応しながら学校生活や行事を行っていった皆さんのチャレンジ精神は立派だったと思います。

 先日発行された図書館だよりの特集は先生方に聞いた「73期に贈りたい花」でした。色々な花が登場しましましたが一番多かったのは「ひまわり」です。「明るく、元気いっぱいで真夏の太陽に向かって咲くひまわりのようなエネルギーを皆さんに感じる」という先生のコメントが書かれていました。

 皆さんのこれから歩む道の先には今回のコロナの出現のような予測不能な出来事が待ち受けているかも知れません。私事になりますが私にとって予測不能だった出来事を思い出してみると、まず私が高3のとき、受験目前の1月になって突然東大を始めとする幾つかの国立大学や私立大学が入学試験の中止を発表し、大学入試が大混乱をきたしたとき。又教員生活の中では、2011年3月この講堂で行われていた論文発表会の直後に東日本大震災が発生し、多くの生徒が帰宅困難になり、講堂で一夜を過ごしたこと。そして今回の新型コロナです。

 苦しかったこれらの体験をなんとか乗り越えることが出来たことは、私にとって「生き抜いていくための力」をそれぞれの場面で授かったような気がしています。

 さて73期の皆さんも様々な困難を乗り越えて、いよいよ本日をもって清泉女学院での生活は終わりになります。この6年間私たちの学校生活は朝のお祈りでスタートし、終礼のお祈りで1日が終わりました。なかでも私の好きなお祈りは聖フランシスコの平和の祈りです。

   慰められることよりも慰めることを

   理解されることよりも理解することを

   愛されることよりも愛することを望ませてください

   私たちは与えることによって与えられ

   許すことによって許される

 つらくなったり、苦しいときに、この言葉をとなえてください。きっと穏やかな心を取り戻せるでしょう。この清泉で過ごした6年間で「揺るぎない価値観」と「感動する心」そして「自ら学ぶ姿勢」が育まれたと信じています。そして忘れてはならない聖ラファエラマリアの教え「すべての人が幸せになるように働くこと それが本当の愛」今はわからなくても時間がたてば自分の心の中に宿っていたと気づくはずです。

 これから新しい世界に一歩を踏み出す皆様に私の好きな言葉を贈ります。

      SURSUM CORDA!-心を高くあげよ-

 神様の豊かなお恵みが皆さんの上に注がれますようお祈りしています。

 

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