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~校長室の窓から~「放送朝礼のお話 倫理科 大河内先生」

2023.03.01

 教会の暦では、先週の灰の水曜日から四旬節に入りました。今年の復活祭は4月9日ですから、それまではイエス様の受難を思い起こし、心を整えていく期間ですね。先日、ある生徒から、「シスターは四旬節の間は何をするんですか?」とストレートに聞かれて一瞬ドキッとしました。改めて聞かれると、四旬節中の金曜日にはお肉を食べないとか、決められたことを最低限しているにすぎないことに気づき、焦りました。皆さんはどうですか?

 別に関係ない、と思っている人もちょっと考えてみてください。さらにそこで、イエス様の次の言葉の意味を思い巡らしてみましょう。「『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい」(マタイ9:13)という言葉です。

 さて、冬休み明けのことですからもう一か月以上前のことですが、福祉委員会の方たちを通して「お年玉献金」が集められましたね。毎年、そこから様々な福祉団体へ寄付していますが、ベトナムの姉妹校、「ラブスクール」と呼ばれる小学校の卒業生が中学校へ一年間通うための奨学金もそこから送っています。ベトナムのシスターたちに代わって、皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございます。ラブスクールの近隣に住む子どもたちは、義務教育から排除されており、経済的にも苦しい家庭なので、小学校に通うこともできない子がほとんどです。ラブスクールは小学校までなので、さらに勉強したい子のためには一年間に3万円あれば、別の町にあるサレジオ会の中学校に入れると聞き、数年前から、福祉委員会の方たちにお願いして、この奨学金をつくりました。うれしいことに、ラブスクールの卒業生から大学へ行けた人が二人いたそうです。小学校を5年間通うことさえ難しい環境の子どもたちにとって、どんなにすごいことか、想像できないほどです。

 今この話を聴きながら、おそらく皆さんの心の内では、「それはよかったな、うれしいな」と思う気持ちが自然に感じられたことでしょう。見たこともない、知らない子のことなのに、その子の幸せを願う気持ちも一瞬のうちに芽生えたかもしれません。

冒頭に述べた、イエス様が求めていらっしゃる「憐れみの心」は、そのような心の小さな動きから生じるものでしょう。ほかの人の喜びを自分も心から喜べたら、ほっこり温かな気持ちになれます。

「小さなことに大きな愛を」、マザーテレサはそうおっしゃいました。プレゼントを誰かに贈るとき、中身は同じだからと無造作に袋に入れて渡す人はいないでしょう。きれいな包み紙やリボンで飾るでしょう。小さなことにも大きな愛をこめるのを忘れずに、ひと手間かけて人に喜ばれることができたなら、それはどんな犠牲にも勝る四旬節のおささげになるのではないでしょうか? それはもちろん物をあげるときだけでなく、挨拶やちょっとした一言や親切な行いを相手の気持ちに寄り添ってするときも同じです。イエス様がおっしゃる「憐れみの心」、それは人へのいつくしみの心、大きな愛ですね、その気持ちをこめて、この四旬節の間に、小さなことにも大きな愛を心がけていきましょう。

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