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校長ブログ

~校長室の窓から~「放送朝礼のお話 教頭 小川先生 」

2022.11.24

おはようございます。

清泉が大事にする10の価値、11月は「喜びと希望」です。

ポスターは高1の方が描いてくれました。雨降りの背景で明るい色の傘や花がきれいですね。

皆さんは「あなたには夢や希望がありますか」ときかれたらどのように答えるでしょうか?私の夢・希望はこれです、とはっきり答えられる人もいるかと思いますが、「そんなこと聞かれても。。」と思う人も多いでしょう。夢とか希望とか言うと何だかキラキラしたイメージがありますが、そのキラキラをいつまでも持てる人はそれほど多くない、というのが正直なところです。小さい男の子に「将来何になりたい?」と聞くと多くの子が「サッカー選手」とか「野球選手」と答えますが、実際キラキラとしたプロの選手になれる人はほんの一握りです。

私はミスターチルドレンが好きなのですが、好きになったきっかけは「くるみ」という歌で、その歌には「希望の数だけ失望は増える」というくだりがあります。暗いですね。でも、自分自身なかなか思うようにはいかないなぁ、と思うことがあったり、子供が進路で悩んでいた時だったりしたので、このフレーズは胸に刺さりました。実際子供から大人になるにつれて、希望がかなわないこと、望み通りにはいかないことを数多く経験します。思いが強ければ強いほど、思い通りにならなった時の失望感も強く、投げ出したくなることもあります。でもそこで希望はなくなってしまうのでしょうか?

ノーベル賞を受賞したiPS細胞の山中伸弥先生はお父様の希望もあって、医学部に進みお医者さんになりました。ご両親もとても喜んで、希望に満ちて医者の道を歩み始めましたが、外科医になって最初の2年間、指導医からは毎日のように怒られ、叱られ、全く役に立つことができず、山中ではなく、「ジャマなか、ジャマなか」と呼ばれたそうです。医者として病気のお父様を助けることもできず、すっかり自信を無くして、臨床医を諦めて研究の道に進みました。研究者としては順調で、アメリカで成果を納め、帰国して頑張ろうと思っていたところ、日本の研究環境があまりに悪く、365日ネズミの世話ばかりの生活に失望し、今度は研究者をやめてまた臨床医に戻ろうか、と迷ったこともあったそうです。それでもいろいろな偶然や巡りあわせがあり、研究者を続け、そこで医療界の希望の星ともいえるIPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。今やiSP細胞を使った治療は多くの難病を患う人にとってのまさに希望です。

サッカー選手になりたかった少年たちも、彼らがその後ずっと失望感を持って人生を送るのか、と言えばもちろんそんなことはありません。皆別の道や新たな人との出会いに希望を見出して、人生を歩み続けます。希望は私たちを導いてくれるものですが、その導きは決して一直線ではなく、紆余曲折があり、時には涙を伴うことがあります。でも紆余曲折や挫折を経験するからこそ希望の光は美しく尊いのではないかと思います。

先ほどのミスチルの歌は「希望の数だけ失望は増える。それでも明日に胸は震える。どんなことが起こるんだろう、想像してみよう。」と続き、希望はやはり続いていきます。

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