新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆さんのご入学を心からお待ちしていました。又、保護者の皆様にも心からお喜び申し上げます。それでははじめに皆さんの入学をお祝いして来校下さった来賓の方々を御紹介致します。

            　学校法人 清泉女学院 理事長　         深沢 光代 様

　　　　清泉女学院中学高等学校 泉会 会長　関  浩子 様

　　　　　　　〃　　 　　 白水会 会長　立道 伸一郎 様

　　　    ラファエラマリア会 会長　              若月 央子 様

　本日は御多忙中にもかかわらず御参列頂き厚く御礼申し上げます。

   いよいよ４月から中１になった皆さんは清泉女学院中学高等学校の７８期生です。初めてのことがたくさんありすぎて少し心細くなっているかも知れませんね。でも大丈夫です。とても頼りになる先生や優しいお友達そして先輩は皆さんが困っているとき必ず手を差し伸べてくれるはずです。

　緊張気味の皆さんに、私の中１の頃の話しをしてみたいと思います。ずいぶん前のことになりますが、実は私も皆さんと同じ清泉の卒業生です。清泉女学院は横須賀の稲岡町というところに設立され、その後この鎌倉の城廻に移転して来ました。私の中１入学式は横須賀で迎えましたが、その年の２学期からは大船に通うことになりました。今思えば清泉女学院が大きく変わっていった時代を過ごすことになりましたが、色々な意味で貴重な体験をした中１時代でした。あまりの環境の変化に戸惑う日々が続きましたが、次第にまわりの様子を観る余裕ができ緑に囲まれた新しい校舎でのびのびと過ごしたことが記憶に残っています。厳しくも優しかったシスターズや先生方からは沢山のことを教えて頂き、それまでは自分のことだけで精一杯だったのですがまわりの人のことが少しずつ考えられるようになった６年間だったような気がします。

　４月２３日(土)に元法政大学総長で江戸文化研究者の田中優子さんが高校生に向けて本校講堂で講演をして下さることになりました。田中さんは清泉の卒業生で私の１つ下の後輩です。田中さんも中学に入学した時のことをある雑誌で次のように話しています。「カトリックらしい厳しさはもちろんありましたが、学校の雰囲気は素晴らしく同級生も先生も皆優しくて意地悪されたことなど一度も無かったです。」「そして清泉で過ごした６年間は自分がどの道を行けばいいのか、自分らしく生きることを考え抜いた貴重な歳月でした。」と思い出を語っていました。

　ところで昨日は始業式が行われました。その中で今年は特に心がけてほしい２つのことを中２以上の皆さんに話したので、中１の皆さんにもここでお話ししておきたいと思います。

　１つ目は、元気で楽しく学校生活を送って下さい。この２年間は新型コロナウイルス感染拡大に追われた毎日だったと思います。人類はウイルスとの戦いを繰り広げてきました。人獣共通感染症(人と動物の両方がかかる可能性がある感染症)の新型コロナはSARS(新型肺炎)やMERS(中東呼吸器症候群)と同じようにウイルスが動物から人に感染することで流行します。人獣共通感染症が近年頻発するようになった原因をある研究者は指摘しています。さて原因は一体何だとこの研究者は言っていると思いますか。皆さんも考えてみて下さい。これはとても大きくて複雑な問題が背景に潜んでいます。それについては皆で次の機会にディスカッションしましょう。話を戻しますが、今後も感染対策を継続して元気に過ごしましょう。そして皆が楽しい学校生活を過ごすためには自分のことばかり中心に生活するのではなく、まわりの人への思いやりが大切です。まわりの人が喜んでいることが自分にとってもうれしいと思える人になって下さい。このことは創立以来清泉が大切にしていることです。

　そして２つ目はしっかりと学校の勉強に取り組んで下さい。勉強は「おもしろくない」と思っている人がいるかも知れません。たとえそう思っている教科でも辛抱強く取り組んで下さい。一つわかるともっと先を知りたくなります。世界中には勉強したくても出来ない環境に置かれている子供たちが沢山います。ロシアによるウクライナ侵攻は当たり前と思っていた平和な日常の大切さを改めて見直す出来事でした。

　これから勉強していくことはすべて大切な基礎となる内容ばかりです。１つの課題に取り組むときは沢山の知識が必要になってきます。先ほど皆さんへの質問の答もそうなのです。正しい判断が出来るように清泉の６年間で幅広い知識を身につけて色々なことにチャレンジして下さい。最後に私の好きな言葉を皆さんに贈ります。SURSUM CORDA(心を高く上げよ)です。学校内のどこかに、この言葉が記されています。探してみて下さい。

　これからの６年間が神様の豊かなお恵みの中で、多くの喜びを皆と分かち合う学校生活となりますようお祈りして、新入生への言葉とさせて頂きます。