本校では毎月一度、放課後の時間に聖堂でミサがあります。希望者のみの参加ですが、毎回教員を含めて30～40名参加しています。特にその月の誕生日の人たちは、祝福と手作りカードがもらえます。1月21日のミサでの神父様のお話を紹介いたします。   

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　今日は聖アグネスおとめ殉教者の記念日です。聖アグネスは夫婦、純潔性、女子、強姦の被害者、作物、庭師の守護の聖人です。聖アグネスは3世紀終わりから4世紀ころの聖人で、ローマの上流階級のキリスト者の家に生まれました。彼女は賢く、とても美しい容姿をしていたので多くの求婚者があったそうですが、キリストへの愛のために全く受け付けなかったそうです。ついには、アグネスはローマの執政官から自分の息子と結婚するように、と迫られますが、それさえも拒否します。

彼女はローマの執政官という時の権力者に逆らったわけです。当時はディオクレティアヌス帝の迫害の時代でもあったので、アグネスはキリスト教徒として告発されてしまいます。アグネスは拷問にあい、キリスト教信仰を捨てるか、売春宿に売られるかの、ひどい選択を迫られますが、信仰から両方を拒否し、火あぶりの刑に処せられることになりましたが失敗し、ついには首をきられて殉教したそうです。アグネスは伝承によれば12歳か13歳の若さで殉教したそうですが、まさにキリストへの熱烈な愛と清さを貫き通した聖人です。

さて、今日の福音は十二使徒の選びの場面です。使徒たちは普通のキリストの弟子たちの中から特別に任命されています。使徒とは派遣されたもの、使いの者、権限を与えられた代表者という意味です。その目的は、キリストのそばに置くためと、派遣して宣教させ、悪霊を追い出す力を持たせるためでした。悪霊を追い出すなんていうこと、いわゆるエクソシストは普通の人にはできませんから、特別な、神からの聖なる力を与えられていたということでしょう。

ここでは12人の使徒たちの名前が記されています。特にシモンは、キリストから特別にペトロという名前を付けられています。ペトロとは岩という意味です。教会はこのペトロを中心として始まり、その後継者たちによって今まで続いています。

使徒たちはキリストによって呼び集められました。神から呼び掛けられることを「召命」、「召し出し」と言います。これは英語でいえばcalling、呼ばれることですが、よく使われる日本語に訳すと「天職」といいます。天地の天に職業の職ですね。その人にぴったりの職業だというときに使います。神様は私たち一人一人を心から大切に思っています。だから、神様は私たち一人一人に向けて、その人にとって一番いい道を用意してくださっていて、呼び掛けてくださっているはずです。

使徒たちの中には、「雷の子ら」と呼ばれたヤコブとヨハネもいました。きっと雷のように荒々しい性格で、何かとうるさい人たちだったのでしょう。キリストはそれぞれの人が持った個性、生まれ持った性格や性質も大切にしてくださいます。けっして、その人の持っている善さを否定したりはしません。

ある人は会社員、ある人は農業や漁業で、ある人は公務員、お医者さんや弁護士さん、学校の先生、様々な職業、生き方があります。中には、司祭や修道者シスターのように、自分の人生をすべて神様と人々への奉仕にささげる人もいます。清泉に通う皆さんの中からも、将来シスターになって祈りの生活、あるいは多くの人のために奉仕する人が出てくることを心から願っています。

もちろんすべての人が使徒になるように、と呼ばれているわけではありません。独身の召命、結婚生活の召命、親としての召命ももちろんあります。けれども、神様はそれぞれの人の個性や性格に合わせてそれぞれのための特別な生き方を準備し、呼び掛けてくださっています。その呼びかけに答えるか答えないかは、私たちの自由にゆだねられています。

私たちには、それぞれの道で、キリストのように生きることが求められています。それは、神様からいただいているお恵みに気づき感謝し、共に生きる人たちを大切にしていく生き方です。

忘れてはいけないのは、、私たち一人一人が、神様にとってかけがえのない特別な存在だということです。神様は、財産の多い少ないや、家柄のよさ、地位や権力、学校の成績に関係なく、私たちが私たちであるというだけで、愛を注いでくださいます。そして、出会う人々、自然や様々な出来事を通して、私たちにお恵みを与えてくださいます。

私たちが神さまから与えられるお恵みに気づき感謝していくことができますように、私たち一人一人が神さまからの呼びかけに答えて、それぞれの生きる場で神さまの愛にこたえていくことができますように、聖アグネスに取次ぎを願って祈ってまいりましょう。