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校長ブログ

~校長室の窓から~「 1月目標 (外国語科 大瀧先生)」

2021.01.20

    1月の月目標は「自由」です。皆さんは「自由」と聞いた時、どのようなことを思い浮かべますか。一般的な意味としては、「自分の意のままに振る舞うことができること」、「何も強制や制約をうけないこと」ですが、「清泉が大切にする10の価値」の中の「自由」は少し違う意味だろうと皆さんもきっと考えているはずです。ここで言う「自由」について説明されている文章では、自由は自分自身と現実について知ることによって生じると書かれています。自由は人が自分の歩む道に責任を持ち、自分で選択することを可能にする、そしてそのことによって自分自身と世界のための人生を生み出すことができる、と続きます。少し難しそうですが、「知ること」と「責任を持つ」という言葉がキーワードになりそうです。

『置かれた場所で咲きなさい』という著書で有名な、ノートルダム修道女会のシスター渡辺の本の中から、「自由」に関することを少し紹介したいと思います。その文章は大学教育について述べているもので、大学とは「自由人」を育成するところであると書かれています。自由人とは、自分勝手な、好きなことをする人ではなく、自らに由る[よる]ことができる人、自らに由る思考と行動ができる人、その責任を取ることができる人のことです。(「由る」とは、「それを原因とする。起因する。」という意味です。)他人の言いなりになったり、他人への思惑に振り回されたりするのではなく、自分の内部に行動の理由、または信念を持っていて、自分の人生を築いていくことのできる人を指します。ただ、「自ら(=自分)に由る」と言っても、その自分自身は、生徒の皆さんだけでなく大人であっても、まだまだ未完成な、不完全なところの多い存在です。人は一生をかけて、自分のなるべき姿に近づいていくのではないでしょうか。自分が判断するための基準や土台となるものを築くために人は学ぶのであり、人が人としてよりよく生きていくために知性を磨くのです。私たちは、学ぶことで自由になる、と言えます。そして、どのような価値基準や信念に基づいて選択をしていくかという時に、清泉はカトリックの学校なので、いろいろな場面でキリスト教的価値観が皆さんに示されています。月目標のポスターに書かれている「真理はあなたたちを自由にする」という聖書の言葉も一つのヒントかと思います。(「真理」は12月の月目標でしたが、聖書では真理という言葉は、キリスト自身やキリストの言葉を指すものとして使われています。)

同じくシスター渡辺の著書から、もう一か所引用します。

「 ヴィクトール・E・フランクルという人が人間の自由について、このように書いています。

『人間の自由というのは、諸条件からの自由ではなくて、これら諸条件に対して、自分のあり方を決めていく自由である』

 神ならぬ身の私たちは、いろいろな条件のもとでしか生きていくことができません。中には、生まれつき逃れることのできない条件を身に負って生まれていらした方たちもあります。

 人は誰もが、周囲の人やさまざまな環境という条件のもとで生きていかざるを得ないし、病気とか災難といった思わぬ条件に出遭うこともあるでしょう。

 それらの条件と闘って、排除していくこともたいせつです。

 しかしながら、それができない時、それらの条件に対して自分がいかにあるか、それらをどのように受けとめていくか —– ということが、自由人であることの証となります。」

(『幸せはあなたの心が決める』渡辺和子著 PHP研究所)

コロナ禍の現在、私たちに突き付けられた様々な困難な条件に対して、常に「自由人」でありたいものです。

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