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~ 校長室の窓から ~「放送朝礼のお話 (教頭 小川先生)」

2018.02.26

オリンピックの感動に浸っているうちに1年の締めくくりの試験が目前に迫ってきました。
そこで今日は「なぜ学ぶのか」、という深い問を皆さんに問いかけようと思います。皆さんは何のために学ぶのでしょうか?いい成績をとるためですか?お父さんやお母さんに勉強するように言われるからですか?自分の将来のためですか?

私は教員になって間もなく、ある学校の校長先生が「中高6年間かけて、自分のためとか、自分の将来のため、だけではなくて何のために学ぶのか、答えを探しなさい。」と生徒に語りかけるのを聞いて、少なからず衝撃を受けました。私はそれまで、親に「将来困らないように、しっかり勉強しなさい」というようなことをいわれ、それを素直に受け止めて勉強してきただけの、言わば「意識低い系」人間だったのです。ですから、「自分のため、以外の学ぶ理由」を考えなさい、といわれ、正直なところ考え込んでしまいました。皆さんはどうですか?

これはとても難しい問いなので、ちょっと視点を変えて考えてみましょう。
逆に考えて、学ぶ目的が自分のためだけ、だったらどうなるのでしょうか?わかりやすいところで音楽を例に挙げさせてください。歌が大好きで上手になりたくて、厳しい声楽のレッスンを受け、音楽理論を一生懸命学んだとします。オペラの歌を歌うため英語はもちろん、イタリア語やドイツ語も勉強します。音楽の背景を理解するために世界史や地理や文化も学びます。そして、佐々尾先生みたいに歌がとても上手になったとします。音楽を学ぶ目的が自分のためだけだとすれば、自分で満足できるくらい歌が上手になったところで目的達成です。特に誰かに聞いてもらわなくとも自分一人で上手に歌えたらそれで十分なはずです。
でもそうなったとき、実際満足できるでしょうか?想像してみてください。たぶん違いますよね。「自分が上手に歌えて嬉しいな」、ではただの自己満足だ、ということにいつか気づくと思うのです。そうではなくて、きっと他の人にも聞いてもらって、音楽のすばらしさを共有したい、伝えたい、喜んでもらいたい、と思うでしょう。そして「あなたの歌を聞いて励まされた」と言われたりしたら、それまでの苦労も忘れてしまうでしょう。一生懸命学んだ先に、自分だけでなく、他の人とのかかわりがあって、そのかかわりが有意義で幸せなものであった時に、「勉強してよかった」「私はこのために勉強してきたんだ」、と思えるのではないでしょうか?

そこで、最初の問いです。皆さんは自分以外の何のために勉強しますか?答えは人によって違うし、簡単には見つからないし、途中で変わってしまうこともあると思います。私が自分なりの答えを見つけたのは大学を出た後です。少々遅かったな、と思っているので自分の反省を込めて皆さんには今から考えてほしいと思い、この話をすることにしました。清泉での時間が残り少ない人もいますが、問いつづけることで、いつか自分の答えが見つかるのではないかと思います。

でも最後にひとこと言わせてください。自分のために勉強するのは、もちろんわるいことではなく、小学生や中学生、そして高校生には当然必要です。目の前のテストのために勉強することも絶対必要です。いくら大きな志や望みを持っていたところで目の前のやるべきことをコツコツやることができなければ、それはただ絵に描いた餅、妄想です。先ずはこれから始まる定期試験、最後までしっかり頑張りましょう。そして「何のために勉強するのか」考えてください。

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