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~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話(倫理科 小野先生)」

2019.12.03

おはようございます。今月の10の価値のポスターは 高校一年生の柿沼さんが作成してくれました。

 小学校の一年生の長男はよく質問をしてきます。最近は、ドラえもんはなぜうちにいないの?のび太はなぜ宿題をしないの?ジャイアンとスネ夫はなぜ意地悪なの?などドラえもん関係が多いです。そんな中、先日「日本はなぜ戦争をしたの?」と聞かれ、答えに窮しました。それはたくさんのが答えがあるからです。今は、宿題にして待ってもらっています。それとは別に、戦争がしてはならないものであることは、ぜひ子どもに伝えたいと思っています。では、「戦争はいけないものである」ということは、みんなが正しいと思う「真理」なのでしょうか?

 昨年演劇部が『沈黙の夏』という劇を上演しました。戦争中の日本が舞台で、登場人物たちは、戦争が正しいと信じています。そこでは戦争がいけないことという価値観は真理ではありません。実際、私は大学生の頃、戦争を経験した祖父と議論をしました。祖父にとって太平洋戦争は、「いけない」ものではなかったのです。

 劇の登場人物たちは、それぞれにつらい思いをしています。そのつらさを糧に助け合うのではなく、アメリカ人の父をもつ主人公に攻撃の矛先が向いていきます。私が、戦争を肯定できないのは、この劇のように社会で一番弱いものが真っ先にたたかれ、つらい思いをするからです。

 大学で私が教わったのは、「誰の視点でこの世界を見るのか」ということです。差別を受けている人、経済的に困窮している人の視点で見るとき、私たちの世界がいかに矛盾や暴力に充ち満ちているのかということに気づかされます。 

 聖書の中で、イエスは私は道であり、真理であると述べています。この言葉はイエスが社会の中で最も苦しんでいる人々に寄り添ったことと切り離せません。「社会の中で一番苦しんでいる人」の視点で物事を見ることは、ポスターの言葉のように私たちを「真理」に近づけてくれるのでないでしょうか。

 

 

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