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校長ブログ

~校長室の窓から~「 放送朝礼のお話(外国語科 丸山静香先生)」

2018.12.13

  おはようございます。
  突然ですが、皆さんの将来の夢は何ですか?清泉を卒業した後の進路は、もう決まっていますか?決まっている人も、決めかねている人もいるかと思います。今日は、私が個人的に考える「進路とは何か」、また、「高校生のうちに考えておいてよかった」、と思うことについて話そうと思います。
  2008年の夏休みのとある日。高校3年生で受験生だった私は、地元の図書館で勉強をするフリをしながら、全く勉強と関係のないことをのんびりと考えていました。それは「どうして私は本を読むのが好きなのだろう」ということです。子供の頃から食事をするように本をむさぼり読んできましたが、それまで一度も「なぜ」好きなのか考えたこともありませんでした。
  その夜家に帰り、好きな本を集め、好きな場面の共通点を探してみました。(くれぐれも皆さんは受験生になったときに、マネしないでください。)分析した結果、「物語の中で、登場人物たちの心が動く場面が好き」という答えにたどり着きました。主人公が仲間と試練を乗り越え絆を深めたとき、私も胸が熱くなり、大切な人を失ったとき、私も一緒に涙し、イケメンに告白されたときには、私も一緒にきゅんきゅんとしました。結論として、本の中に描かれた「人の心」が好きだったのです。
  この結論に辿り着いたとき、ちょっとした衝撃を受けました。読書は一人でやることだから、自分は一人でいることが好きなのだとそれまでずっと思っていたのに、本を通して「人」を愛していたなんて。この瞬間、私は人が好きなのだと気がつきました。そして、ずっと悩んでいた自分の進路を決めました。
  それは「人の心に寄り添い、人類の「心」という文化を支え、後世に受け継ぐ」ということです。
  社会人となった今、同級生たちを見てみると、あの頃の進路希望書に書いた職業に就いている人は本の数人しかいません。科学捜査官になりたいと言っていた親友は、パッケージデザインの画像処理をする仕事をしています。医者しか考えられないと言っていた部活仲間は、ひょんなことから進路変更し、今では楽しそうに小学校の先生をしています。サッカー選手のパーソナルトレーナーになると言いスポーツ科学を専攻した友達は、K-popに嵌まったことを切っ掛けに、今では韓国ドラマなどを扱う会社で働いています。私も、高校卒業まで「小説家になる」と担任の先生に言い続け困らせていましたが、今では教員となり、こうして女子校の放送朝礼で話しをしています。社会人になってからこそ分かったことは、どんなに中学生や高校生の時に将来就きたい職業を見つけても、実際にその職業に就くかは分からないということです。
  では、あの思い描いていた職業に就かなかった私たちは、不幸せなのでしょうか。否、私たちは今、20代後半女性として怒涛の毎日を駆け抜けながら、思い切り人生を楽しんでいます。
  中高の教員は本当に大変です。辛くて辞めたいと思うこともあります。それでも辞められないのは、生徒の皆さんが日々の授業や、部活や、学校行事の中で、一喜一憂しながら成長していく様子を間近で見ているのが楽しくて大好きだからです。
  高校3年生の夏に私が誓った、「人の心に寄り添い、支える」という進路を、私は、今まさに歩んでいます。
  自分の将来の夢や進路について考えるとき、是非、自分が今何に夢中なのか、どうして夢中になるほど好きなのか、考えてみてください。深く掘り下げ、抽象的で根本的な答えが見つかるまで考え続けてください。そこで見つかった答えこそ、あなたという人間の「真理」であり、どのような人間でありたいかという「進路」になるからです。

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